なけなしの金で買ったばかりのCDの袋をペリペリと剥がす時の興奮を覚えている。
CDを買ったせいで財布の中身はギリギリなのに、寄りたくもない喫茶店で飲みたくもないコーヒーを注文したのは一刻も早くCDを開封したいからだった。
家に帰って聴くまではどんな作品かわからない。
ただ開封したばかりの歌詞カードとライナーノーツを読むのは至福の時間だった。
家に帰って晴れてデッキに入れて聴き、例えばそれが拍子抜けするような作品であっても、何度も何度も聴き込む。
「おれの感覚がついていけてないだけかも」
「何回も聴くと良くなるかも」
初めて聴いた時からぶっ飛べるなら最高なのだが、全部が全部そうだとは限らない。
なんせ前情報が現代のそれとは比べ物にならないほど乏しいから。
どんな駄作であってもおれの実家のCD棚には宝物のように飾ってるよ。
クラッシュのカットザクラップがまさにそれだよ。
中学3年の修学旅行で京都の新京極で買ったんだ。
「クラッシュ」
何か聞いたことがあるぞ。パンクだろ。
ジャケットもカッコいいし。
今までどうにか理解しようと何百回も聴いたけど未だにその良さが皆目理解できないけどな。
それでも捨てたりなんかしないよ。
それがCD。
みんなの人生に少しでも、ほんの小さな波紋でもいいから残せたら幸いです。
10/6発売
AMERICAN CRAZY MOTHER FUCKER
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